リポジショニングはブルーオーシャンへと移行する

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ブランディングは、自らの事業の再定義から始まる。再定義とは自分の立っている場所を戦略的に移すことである。何故リポジショニングを迫られるのか。それは、たとえば、市場競争が激しくこのままでは成長が見込めない場合、あるいは、事業が拡大しドメインが曖昧になった場合、または、合併によって自ずと事業領域も競合関係も変わってしまった場合など、様々である。
ブランディングとは、事業をリポジショニングし、そこに新しいドメインを象徴するような記号をつけることによって、まったく新しいアイデンティティを獲得することといえる。新しいポジションへの移行によって稀なるアイデンティティを形成することができれば、その市場を独占することもできる。ブランディングの本質は、リポジショニングにあり、それは強烈なビジネスインパクトを持っているのである。
ブランディングにおけるリポジショニングは、ライバルに勝つという従来型の競争優位の戦略ではない。自らの組織能力やコアコンピタンスを活用する競争優位の戦略では、相手をいかに出し抜くかということが課題になるが、他社に負けないために守りの姿勢になりがちである。しかし、ブランディングにおけるリポジショニングは、自らのコア事業の見え方=スキーマ(認識)を変えることによって独自のポジションを獲得しようとするものである。既存の産業分類に収まりきれない独自の個業化には、自らの潜在能力を引き出し、市場の潜在ニーズを引き出す力が秘められている。
コア事業のリポジションは、市場の見えざる需要を掘り起こすためのフレームワークであり、同時に組織メンバーのマインドセットを改革し、組織の若返りを促すリーダーシップツールでもある。
リポジションニングし、記号を付与することにより、競争のない未開拓市場(ブルーオーシャン)を形成する可能性がある。ブランディングは、競争優位の戦略ではなく、自らの強みや特性が生かされる棲み分け優位の戦略といえる。
Wilkhahnのブランディングプロジェクトでは、特別な調査手法によって、市場における自社ブランドと競合ブランドのポジションを調査した。その結果、それらが重なっていたり、自社ブランドが複数のポジションに分散していることが発見された。ブランドの陳腐化とは、ブランドのコアとなる価値が曖昧になるということであり、ときにはポジションそのものが分散してしまうことである。プロジェクトでは、Wilkhahn固有のポジションを特定し、そのポジションに一点集中するような戦略が展開された。また、調査では、コーポレートと製品の2つのポジションを同じ座標軸上で比較することも試みられた。その結果、コーポレートと製品のイメージポジションがかなり分離していることが発見された。Wilkhahnのブランディングプロジェクトでは、コーポレートブランドと製品ブランドの一致が重要な戦略課題になったのである。このようにブランディングとは、イメージや市場におけるポジションを改めて確認し、1番有利なところへ移動させることともいえる。
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