「ブランド破壊」

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ブランディングに求められるデザイン表現は、一瞬のパターン認識によって、理解・共感を促すことである。 従来のブランディングではネーミングやシンボルロゴがもっとも重要な位置づけにあったが、情報環境が多様化し、情報が爆発するように増殖する世界では、すでにシンボルの固有性を主張することは難しくなってきている。
この場合のマーチン・リンストロームが提案する「ブランド破壊」というコンセプトは、シンボルマークからの脱却であり、いかにシンボルロゴを使わずにブランドを訴求できるかという試みである。
元来、ブランド(brand)の語源は、burned=焼印であり、マークであったが、むしろ色や写真などに特化した訴求によって、ブランドのメッセージや個性が伝わりやすくなるということがある。シンボルロゴからの脱却によって、むしろ五感を越えた訴求を可能にしていくことが出来る。
共通感覚とは五感を統合する感覚をいう。ブランディングにおける表現やコミュニケーションでは、意味やメッセージを明確に伝えるための理解訴求と、イメージや雰囲気を伝えるための感覚訴求の2つのバランスが重要になってくる。
それらの訴求をあらゆる知覚経験=共通感覚に訴求することがブランディングにおけるコミュニケーションでは重要であり、そのための仕掛け、戦略の創造性が求められる。
人間の感覚能力=「共通感覚(センスス・コムンス)」とは五感と感情や記憶を総合する知覚能力である。
出典:「共通感覚論」 中村雄二郎 著
ブランド・ワンボイスは、ターゲットに合ったメディアで展開されるあらゆる基本要素(シンボルや写真、ステートメントなど)を、一つのボイスとして統合して表現しようとする、1990年代ニューヨークから出てきた考え方である。
ブランド・ワンボイスの考え方は、従来のVisual Identityとは違い、広告や映像媒体におけるメッセージや知覚品質まで統合していこうとの試みであり、apple社の「Think Different」キャンペーンからiMacのプロモーションまでの展開や、United Colors of Benettonの一連のメッセージ広告の成果もワンボイスとして位置づけてよいのではないだろうか。
原研哉氏(アートディレクター)が提案するコンセプトにエクスフォメーション(exformation)という概念がある。情報を正確に伝える、インフォメーション(information)するという意味の対語として発明された。エクスフォーメーションは、「知らなかった」ということに気付いてもらうようなデザインや仕掛けのことをさしている。
ブランディングにおけるコミュニケーションのあり方としては、理解に訴求するような雄弁さよりも、できるだけ何も語らず、発見を誘発するるようなエクスフォメーションという発想が重要である。
ブランドは、受け手の頭(または心)の中にある。伝えて感じてもらう以上に、自分の頭の中で再創造してもらうことによって、ブランドは強烈に人の中に浸透し、人を動かしていくのである。
無印良品というブランドは、商品そのものが無駄なものをそぎ落としたものになっており、商品やブランドそのものがエクスフォメーション化しているといえる。エクスフォメーションは、結果として共通感覚に訴えかけ、ブランドの神話性を高めることにつながっている。
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